電気エンジニアのブログ

大手電機メーカで電気設計をしています。自分の勉強も兼ねて電気技術系の記事を投稿する予定です。

【就活・転職】電機メーカの電気技術者の職種・仕事内容(前半)

電機メーカの電気技術者の職種・仕事内容を知りたい人

「電機メーカに就職したいけど仕事内容がいまいちよくわからない、職種って何があるの?」といった疑問に答えます。

 

本日の記事の内容

  • 電機メーカの電気技術者として採用された際の職種・仕事内容(前半)

※この記事は私が働いている電機メーカでの経験をもとに書いておりますので、あくまで一例としてお考えください。

 

電機メーカの電気技術者として採用された際の職種・仕事内容(前半)

電機メーカの電気技術者として採用された際の職種は以下になります。

  • 設計開発
  • 品質保証
  • 量産技術
  • 研究開発
  • 知的財産
  • 調達

 今回はこのうち設計開発・品質保証・量産技術の3つを紹介します。

設計開発

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設計開発は、文字通り製品を実際に設計・開発する職種になります。

メーカに就職したい理由でよくある「自分で製品を作りたい!」という人はこの職種です。

具体的な仕事内容は、電気回路の設計、部品選定、他部門との交渉(機械や情報系の設計開発、品質管理や量産技術部門との連携等)、特許技術の考案等になります。

 

電気回路の設計は、回路図を描いて、回路パターンをCADで引いていきます。

部品選定は、どの部品を使うかの選定になります。

たとえば抵抗1つに対しても、リード部品にするか表面実装部品にするか、定格電力はどのくらい必要か などを考えて部品を選定する必要があります。

回路設計、部品選定が終わると、今度はそれを試作して実際に動くのか評価をしていきます。

他部門との交渉は、例えばよくあるのが機械系の設計開発者から「回路基板と外壁が干渉してしまう(ぶつかる)ので回路基板をもう少し小さくできませんか」という話がきて、基板を小さくできるようパターンや部品配置を工夫するということがあります。

特許技術の考案では、設計開発の中で生まれた新しいアイデアを積極的に特許化していきます。

特許は他社に対して大きなアドバンテージと同時に、他社に特許を出された際には大きな障壁となります。

したがって、この特許技術の考案も設計開発の大切な役目の1つとなります。

 

私の担当もこの設計開発ですので、こちらの内容については後日また詳細に述べたいと思います。

 

品質保証

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品質保証(または品質管理)は開発した製品を世に送り出していいかチェックする職種になります。

 具体的な仕事内容は、製品の品質試験で、例えば電気系の品質試験ですと、

  • 雷サージ試験(雷が落ちた際に製品が破壊しないか)
  • ESD試験(静電気で製品が誤作動・破壊しないか)
  • 昇温試験(電気部品が定格温度以上に発熱しないか)

などがあります。

 

品質試験は、試験がNGになった場合は再現性を確認する必要があります。

再現性というのは、どういう条件でどういう試験をするとNGの状態が起きるかというものになります。

これが非常にやっかいで、100回同じ試験をして1回しかおきないNGなんていうことも少なくありません。

 

また、基本的に設計開発部門は原価低減のため、試験クリアギリギリの性能で攻めてきます。

そのため開発の段階(開発初期か後期か)によっては試験がNGになることはよくあります。

しかし、NG具合によっては設計開発部門がいろいろな理由を考えて試験をOKにしようとします。

品質保証部門はそれに押し負けず、その理由に正当性があるのかをきちんと判断することが大切です。

 

品質保証がおざなりになると、例えば某メーカのスマートフォンの爆発や、自動車の不正検査等、ブランドイメージに大きな傷をつける可能性があります。

したがって、品質保証はブランドイメージを守るためにも非常に重要な部門です。

 

 量産技術

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量産技術(または生産技術)は製品を量産するための方法や設備を整える職種です。

具体的な仕事内容は、量産方法の確立、工場でのラインの立ち上げ等になります。

例えば電気系の量産技術だと、製品に乗せる電気回路の量産があります。

 

量産方法の確立というのは、どこで製品を作るか、現状の設備で量産可能か、どの機械を導入すると効率UPにつながるか、といったことを判断し工場に指示を出します。

工場設備を動かすことになるので、時には数千万円単位の案件の判断を求められることもあります。

また、製品の組み立ては人手作業から機械による自動組み立てにほぼ移行されてきていますが、組み立て機械にも莫大なお金がかかるため、いかに安く効率よく自動化するかといったことも考える必要があります。

 

工場のラインの立ち上げというのは、新製品を作るための工程を準備することです。

基本的にこの新製品を作るための工程の準備というのはなにかと問題がおきます。

したがって、ラインの立ち上げの際には量産技術者も現地に赴いて立ち合います。

生産工場は海外拠点にも多々あるので、量産技術者は海外出張が多いです。

私の同期にも量産技術の方がいるのですが、日本にいるよりも海外にいる方が長いようです。

 

余談ですが、海外出張に行くといろいろな金銭補助が貰えます。

海外出張や赴任に抵抗のない方にはお勧めの職種です。

ただし、生産工場は東南アジア等の物価の安い国に多いので、アメリカやヨーロッパのような海外をイメージされてる方は考え直したほうがいいかもいしれません。

 

最後に

本日は電機メーカの電気技術者の職種・仕事内容(前半)ということで、設計開発・品質保証・量産技術について解説しました。

残りの職種についてはまた後日記事を書きたいと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。